セボフルランの心筋イオンチヤネルの制御機構:洞房結節細胞における陰性変時作用/心室筋細胞におけるストア作動性Ca2+流入機構の抑制

摘要

心臓が正常に機能するためには，心筋細胞のイオンチャネル機能の維持が必須である。吸入麻酔薬は心拍数や心収縮力などの心臓機能に対してさまざまな影響を及ぼすことや，心筋保護作用を発揮することが知られている。よって吸入麻酔薬のこれらの心臓作用を理解するためには，吸入麻酔薬による心筋イオンチヤネルの制御機構を明らかにすることが必要である。さらに，心筋イオンチャネルの分布は，洞房結節や房室結節などの特殊心筋と心房筋や心室筋の固有心筋では異なつているため，吸入麻酔薬の作用を部位（細胞）特異的に検討する必要もある。今回われわれは，セボフルランの変時作用に関する電気生理学的メ力二ズムを明らかにする目的で，心臓ペースメー力部位である洞房結節細胞に対する作用の検討を行い，セボフルランが直接の陰性変時作用を持つことを見出した。