入室時の完全房室ブロックにより手術を延期し，後日，ペ一スメ一カ揷入後に人工骨頭置換手術を行った1症例

摘要

手術室入室時に完全房室プロックを呈していたことから，手術を延期し，後日，ペ一スメ一カ揷入後に人工骨頭置換手術を行った1症例を経験したので報告する。 1.症例 86歳，女性，身長140 cm,体重40 kg 大腿骨頸部骨折に対し人工骨頭挿入術を予定した。65歳時より，拡張型心筋症様の心機能低下に対し循環器内科で治療されていた。軽度腎不全， 認知症も認められた。内服薬はヮルフアリン，口サルタン，カルベジロ一ル，ジゴキシン，フロセミドであり,ヮルファリンは入院時より休薬していた。心電図は完全左脚プロック，一度房室プロック，左軸偏位，二段脈であった(図1)。心臓超音波検査では，左室の拡大と拡張型心筋症様のびまん性壁運動低下を認め，左室駆出率24%であった。