モンテカルロシミュレーションを抗菌薬の投与設計に応用する ビアペネム投与設計支援ソフトの実用と臨床応用への展開

摘要

モンテカルロシミュレーションとは,一定の条件下で乱数を発生させることによりシミュレーションをくり返し,得られた値をもって未知の値を予測しようとする手法である.抗菌薬のPK-PDデータからモンテカルロシミュレーションを行うために必要な情報として,①ヒトにおける母集団薬物動態パラメータ,②臨床分離菌株のMIC値の分布,③効果と相関するPK-PDパラメータの種類およびその目標値が必要である.目標達成確率とは,治療目標としたT>MICにおける有効性が期待できる確率の推定値を示すものである.パソコンの普及により,モンテカルロシミュレーションはすでに医療関係者でも臨床応用可能なツールとなった.感染制御専門薬剤師は, PK-PD理論とモンテカルロシミュレーションを駆使し,抗菌薬治療に貢献できる能力を養う必要がある.