被災地での情報収集·伝達のための分散型システムの開発－大大特「情報収集グループ」の研究紹介

摘要

災害発生時に迅速でかつ正確な情報収集を現場で行うことは，的確な救助計画を策定し，効果的な救助活動を遂行する上で必要条件となる．そこでロボット技術に期待されることは，災害発生現場において情報収集活動を自律的に遂行できるシステムの実現である．これは災害情報システムのフロントエンドとして人手に頼らずに被災現場で自律的に情報収集することであり，これまでの災害情報システムにおいてもっとも欠けていた部分ともいえる．本特集号では，情報収集のレスキューシステムとして，被災地城上空を飛行して災害状況を観測する自律飛行型ヘリコプターと，がれきの内部や上部を移動しながら被災者を探索する各種の移動ロボットが，それぞれ別稿にて解説されている．本稿で紹介する大大特「情報収集グループ」では，それら二者の形態以外による災害情報収集の手法を検討し，それを実現するためのデバイスやシステムの開発を行っている．また，研究範囲は災害情報の収集にとどまらず，情報の伝達や提示，予測評価も包含している．ここでは，その研究の背景，目的，研究内容ならびに今後の研究開発の予定について述べていくことにする．