硫酸処理／ジビニルベンゼン-メタクリレートポリマーカラム分画法による絶縁油中微量PCBの簡易定量

摘要

微量PCB汚染が疑われる重電気機器は650万台以上存在すると推計されている。銘板等からはPCB含有を判断できないため，これらを全数分析しPCB混入の有無を確認（基準値＝0.5mg/kg）しなければならない。従って，これらを短時間にかつ低廉な費用で分析できる方法（簡易定量法）の確立が求められていた。種々の測定方法が検討され，昨年6月に「簡易定量法マニュアル（第2版）」が環境省より発表された。その測定技術のうち，我々は「硫酸処理／ジビニルベンゼン·メタクリレートポリマー分画法」を提案した。本技術はJIS C 2320電気絶縁油のJIS1～7種油およびDOPを適用範囲としており，ジビニルベンゼンーメタクリレートポリマーを固相抽出用充填剤に用い，PCBと絶縁油成分を効率よく分離精製することが可能である。また，従来の分析方法である厚生省告示第192号別表第2または，絶縁油中のポリ塩素化ビフェニルの分析方法規定「JEAC 1201-1991」を行える前処理設備があれば，初期投資を必要とせず安価に行える手法である。本報では，本技術による絶縁油成分のクリーンアップ効果および分析精度について報告する。