底泥コア試料採取時に用いる柱状型不攪乱採泥器の問題点に関する研究

摘要

底泥には様々な物質が堆積しており，底泥中の各種化学物質を対象とした蓄積状況やその動態に関する調査，研究も活発に行われている。これらの底質調査では採泥器（サンプラー）を用いて底泥を採取し，実験室で分析に供する事が多い。採泥器の中で特に柱状型不攪乱採泥器は環境汚染物質の鉛直方向の分布評価や溶出試験のためのコア試料採取に多く用いられており，様々なタイプのものが考案され実用化されている。調査時における採泥器の選択はサンプリング現場や調査目的により個々で判断している状況であるが，採泥器の性能については十分に検討されていない場合も多く，結果として異なった種類の採泥器を用いた調査において底質中の物質濃度の分布を解析した際に相異な結果を得ることがあった。これらの要因として採泥器の違い，特に採取口径の問題は過去にも指摘されていたが，具体的なデータは示されていない。そこで，本研究ではこれらの柱状型不攪乱採泥器の性能に着目し，琵琶湖の同一地点で採取口径の異なる複数のタイプの採泥器を用いて採泥を行い，各種の分析を行った。これらの結果を基に採泥器に関する問題点を相互に比較，検討したので報告する。また，採取した底泥の採取長の違いによる含水率や物質濃度の鉛直分布の相異についても興味深い結果を得たので併せて紹介する。