押出機のスケールアップ理論 第1講 理論の考え方とパラメータの導出

摘要

押出機では，スクリュ回転による樹脂の押出特性がサイズに対して比例関係を保つことが大前提とされる．押出特性は，樹脂の牽引流量と昇圧流量を表す各パラメータから求めることができるが，このパラメータはスクリュの形状因子に依存する．そのため，図2に示すスクリュの溝幅や溝深さ，フライトの螺旋角つまりフライトリードなどは押出機のサイズ（シリンダ径）と比例関係にあると仮定される．これらを前提とした上で，吐出される樹脂の物性や品質を保証するための最適な運転条件の決定には演算式の導出が必要である．押出機において，この最適サイズ選定の基盤となる演算手法がスケール選定理論であるが，そのほとんどが評価基準サイズよりも大型機の選定の際に用いることから，この理論を一般的に「スケールアップ理論」と呼ぶ．