押出機のスケールアップ理論 第2講 スケールアップ則の適用例

摘要

前回はスケールアップ理論の考え方とその導出過程について述べ，単軸押出機は押出量Qがシリンダ径Dの2乗とした不変パラメータで定義され，二軸押出機はQがDの2～3乗の範囲を取り得ることを説明した（以降，押出量Qの乗数のことを総じて「スケールアップ乗数」と表現する）．単軸押出機のスケールアップは一義的であるためその検討段階で大きな議論となる可能性は比較的低いが，二軸押出機の場合はその乗数を決定するための基本概念はあるものの，最終的に用いる乗数の決定に際しては深い議論を呼ぶケースも多い．今回は二軸押出機のスケールアップ乗数の適応性を検討するため，噛み合い型同方向回転型の典型的な装置寸法とスクリュ形状に関して，シリンダ径が50mmと100mmの仮想的な押出機にて検証解析を行うことで，その理論の確からしさを評価するとともに適用時の留意すべきポイントを交えた解説を行う．