ソフト溶液プロセスによるセラミックスパターニングの直接形成－インクジェット反応法,インクジェット堆積法を中心に

摘要

これまで吉村らは，水溶液から結晶化した機能性セラミックス材料を熱処理や焼結無しで形成するソフト溶液プロセスの概念と技術的要素の提案をしている（図1）．このソフト溶液プロセスの概念に基づいてインクジェット用の溶液の開発を行い，CdS，PbS，CaWO_4のパターニングは室温で紙基板上に，TiO_2とCeO_2パターニングは300℃かそれ以下に加熱したガラス基板上に直接に形成することに成功している．BaTiO_3パターニングについては結晶化のために650℃の熱処理が必要であるものの，アルコキシド系と水溶液系の前駆体溶液の開発に成功するとともに，大気解放系の溶液中へのレーザーを用いたプロセスによって，熱処理無しでもBaTiO_3がパターニングできることを示した．本稿は，セラミックス形成における溶液プロセスの利点やインクジェット法でセラミックス材料をパターニングする際の問題点についての概説と我々の研究成果の報告とを合わせた形でまとめることにする．