ソシォグラムを用いたグラントシマゥマの群れの社会関係の解析

摘要

広島市安佐動物公園では，開園以来40年以上にわたりグラントシマウマ、Equus burchelli bohmi)を10頭以上の群れで飼育してきた.これは長時間の観察によって全個体の群れ内での順 位，個体間関係とその性別，年齢などを把握し，大きなけがや死亡事故につながる小競り合いや闘 争を可能な限り回避してきた結果である.しかし，限られた時間での観察では，主観的な推測が含 まれる危険性も高くなる.そこで.成雄3頭，成雌7頭，さらにそれらの子8頭を含む18頭を対象 に.個体間の近接関係を調査し.ソシォグラムを用いて個体間関係の視覚化を試みた.その結果， 群れが2つのハレムグループに分かれていること，母と性成熟した娘は別のグループに属すことな どを視覚的に提示することができた.その様相は日常の飼育、管理作業の中で得られているハレム の存在，個体間関係などの情報と類似していた.従って，短期間に群れでくらすグラントシマウマ の社会関係を視覚的に把握する方法の1つとして個体間の近接関係を基にしたソシォグラムは十分 に有効であること力5確認された.