食遷移の課題と可能性：日本の経験を途上国のチャレンジにどう生かす？

摘要

国や地域全体の食事が、経済発展などの社会変化とともに変化する現象をDietary transitionと 呼び、それを食遷移と訳す。日本で米の消費量が減り、肉や乳製品、油脂の消費量が増えたのは、 典型的な食遷移パターンである。それを「食生活の西欧化」あるいはWesternization (Pingali, 2006)と呼ぶことがある力、正確ではない。西欧でも19世紀後半以降に食遷移を経験しており、 洋の東西を問わず見られる普遍的な現象なのである。例えば、アルベルト.シュバイツアーが小 学生時に友達と取つ組み合いをした際のできごとを思い起こしてみよう。