マンゴー炭疽病菌の硝酸塩利用能欠損変異株の作出とその諸性質

摘要

我が国のマンゴーにMangifera indica L.)は沖繩， 鹿児島および宮崎県などの西南暖地を中心に栽培が盛 んに行われているが，市場や消費者へ果実を届ける過 程においてマンゴー炭疽病の発病が深刻な問題となつ てtゝな.本病はしolktotricnum gloeosporioides (Penzig) Penzig & Saccardo (中村ら，1979)およびC. acutatum J. H. Simmonds (田場ら，2004)の2種の糸状菌によつ て引き起こされる.一般に，露地栽培における炭疽病 菌の感染は，開花から着果期の降雨に伴う分生子の雨 滴伝搬と植物表面の濡れ時間および温度が重要な要因 となっている（Fitzell"/、， 1984).一方，沖網県での 一般的なマンゴー栽培は，出蕾期の1月以降から収穫 期の7月まで，ビニール被覆による雨よけ栽培が行わ れているため，分生子の雨滴伝搬が起こる可能性は低 い.それにもかかわらず，収穫後の果実で本病が多発 している（澤岷ら，2012)ため，雨よけ栽培下におけ る炭疽病菌の伝染環はいまだ不明な点が多い.本病に 対する効果的な防除技術を確立する上で施設マンゴ― における病原菌の生態解明は極めて重要である.