曰本における作物遺伝資源の保全と諸課題一長野県の事例から考える一

摘要

1992年に開催された国連環境開発会議において合 意された生物多様性条約に謳われているように，多様 な遺伝資源を保全し，持続的に利用することが今の私 たちに求められている.日本における作物遺伝資源の 保存は，1980年代後半から90年代にかけて，いわゆ る農業生物資源ジーンパンク事業の一環として日本各 地で遺伝資源の探索、収集が集中的に実施され，生息 地域外保全の目的は，ほぼ達成されたといえよう.一 方で，在来作物品種が栽培されている本来の場所での 保全，すなわち生息地域内保全も大きな意味を持つが， 周知の通り残念ながら減少の一途をたどっている.本 報告では，在来作物品種がおかれている現状と課題を 長野県の事例を通じて明らかにし，今後tゝかにして現 地で保全していくべきかを考えたい.