レタス(Luctuca sativa L.)プロ卜プラス卜へのイオンビーム照射によって 出現した低ポリフエノール才キシダーゼ活性を示す突然変異体

摘要

レタスプロトプラストへのイオンビーム,照射により，ポリフエノールォキシダーゼ（PPO)遺伝子の変異を誘導し，加工用途に向く低褐変レタス個体作出を試みた.まず，再 分化個体を効率的に誘導できるプロトプラスト培養濃度を 検討した結果，熊本県主要栽培品種のひとつである'ラウンド'において，プロトプラスト濃度が0.65 x104mL~(-1)か ら0.73 x 104mじ1で，コ口 ニー誘導培地1枚から得られる シュート形成コロニ一 数が多くなることがわかつた.次 に，プロトプラストへの12C6+イオンビーム照、射を行い， 照射線量とコロニー 形成率の関係を調査したところ，ィォ ンビーム照射線量が高くなるに従ってコロニー形成率は直 線的に低下し，半致死線量は約3.3 Gyであった.イオン ビーム照射した869個のカルス塊のPPO遺伝子の変異を TILLING法により調査したところ，2個の力ルスにおいて 変異が生じていると推察された.変異が認められた力ルス から誘導された再分化個体のPPO酵素活性を予備的に評 価したところ'2個のうち照射線量2Gyのプロトプラス ト由来の力ルスから誘導された再分化個体においてPPO 酵素活性の低下が認められた.そして，そのM2集団を TILLING法とPPO酵素活性で評価したところ，PPO遺伝 子のPCR増幅産物のCe/1による消化が認められずPPO 活性が野生型と比較して明らかに低い個体が認められた.謝辞本研究を進めるに当たり，ご助言をいただいた 東北大学大学院教授西尾剛博士，元東海大学農学部准 教授水谷高幸博士，国立研究開発法人農業、食品産業技 術総合研究機構野菜茶業研究所野ロ裕司博士，同食品総 合研究所永田雅靖博士，タキイ種苗（株）石田了氏に深 く感謝します.