夏秋小ギクの開花斉一性向上における親株系統選抜の重要性

摘要

夏秋ギク型品種を用いた小ギク生産における開花斉一性 を高めることを目的に，挿し穂の前歴が開花に及ぼす影響を7-8月咲き小ギク'みのる'と'翁丸'を用いて検討 した.開花日のばらつきには揷し穂前歴のうち，採穂節位 と親株の個体間差の影響が大きく，分枝次数の影響は小さ かった.そこで親株の個体間差に着目し，系統選抜による 開花斉一化の可能性を検討した.7-8月咲きの'翁丸'，'広島紅'および'小鈴'の親株から，早晚性に特徴のある各々 1-5系統が選抜された.これらの系統を用いた翌年のハ ウス季咲き栽培試験では，選抜を行わなかった対照群と比 較して，各選抜系統で開花期間が短くなり，摘心後到花曰 数の変動係数は小さくなった.年次を変えた露地季咲き条 件での試験においても，各選抜系統の早晚性は再現された. また，開花がばらつきやすい無整枝の条件での追試験にお いても，選抜系統では開花期間が短くなり，開花盛期7日 間に開花した切り花比率が高くなつた.開花節位は早生系 統で低く，晩生系統では高くなる傾向が見られた.