加熱プロセスにより作製されたCoPtCr-SiO_2グラニュラ薄膜の構造制御(I)－Ru下地層の再結晶化と下地上のグラニュラ磁性層の成長様式

摘要

現行の垂直磁気記録媒体では，高ガス圧(4.0 Pa以上)成膜により凹凸形状を付与したc面配向六方晶Ru下地層上に，酸化物粒界相を伴ったCo基合金結晶粒をコラム状に成長させたグラニュラ薄膜が磁性層として適用されている．今後の更なる高密度化のために磁性層には，粒径微細化と熱擾乱に抗する高い一軸結晶磁気異方性エネルギー(K_u)を具備させることが必須となる．一般に，10~7 erg/cm~3オーダの大きなK_uを実現するには加熱成膜による磁性結晶粒の規則化が有効とされているが，Co基合金一酸化物グラニュラ薄膜へ加熱成膜を適用する場合，磁性層と下地層との界面における原子の相互拡散や薄膜成長様式の変化により上記グラニュラ組織が形成されないことが懸念される．そこで本講演では，実際にRu下地層上に加熱成膜プロセスによりCo基グラニュラ薄膜を作製して構造解析を行い，下地層の構造·組織の変化ならびにその上に作製されるグラニュラ磁性層の成長様式について検討したので報告する．