透析患者における心機能評価—血清卜ロポニンI値と経胸壁心エコー図を用いて一

摘要

目的透析患者において，卜ロボ二ンIが左室収縮能の指標や各心機能の指標と相関するか否か経胸壁心ェコー図と比較して検言7せ行った.方法当院で慢性維持透析を行っている患者41名（男性28名，平均年齢69+-11歳）を対象とした.なお，急性冠症候群，急性心不全，中等度以上の弁膜症，心房細動は除外した.卜ロボニンIの測定にはアボットジャパン社製の「ァーキテク卜~R卜ロボニン1ST」を用いた.トロポニンIの測定値0.032ng/mlをカツ卜オフ値として低値群と高値群の2群に分け，経胸壁心ェコ一図から得られた値と関連があるか比較検討を行った. 結果卜ロボニンIの測定値を0.032 ng/mlをカットオフ値として2群に分けたところ，低値群は25例，高値群は16例であつた.LVDd, E, E/E'は両群で有意差はなかった.LVDs, LVEF, LAD, A, DCT, E', LAVI, LVMIは両群で有意差を認めた.LVEF, E', LVMIはトロポニンIと良好な相関を示した. 結論透析患者において卜ロボニンIが左室収縮能の指標や各心機能の指標と相関する可能性が示された.今後卜ロボニンはACSの予測マ一力一のみならず透析患者の心機能マ一力一，ひいては将来のィベン卜予知のサロゲ一卜マ一カーとなりうる可能性が示唆された.