石綿の使用とばく露防止に関する国際動向と今後

摘要

石綿の産業利用は欧米先進国の工業化にともなって19世紀に本格的に始まった。 それより前の1720年には、ロシアのウラル山脈に石綿（クリソタイル、白石絹）が発見され、時のピヨトル大帝統治下でその石綿から手袋や靴下、テーブルクロスなどの織物が生産されたが、産業としては成立しなかったという。 このウラル山脈の石綿は19世紀末1885年に再開発され、現在では世界最大の石綿鉱山となっている。 ウラル山脈南東のエカテリンブルグ市近郊の人口8万人のアスベスト市に、長さ12㎞、幅2㎞、探さ300mの大露天掘り鉱山がある。 現在、その“ウラルアスベスト”鉱山からは年間約80万トンのクリソタイル原綿が生産され、半分を国内で消費し、半分を輸出している。 鉱山近くには石綿製品製造工場群があり、織物や石綿スレートなど様々な製品が生産されている。