骨髄異形成症候群 －謎の骨髄疾患を解明へ，不治の血液難病を治療へ－

摘要

骨髄異形成症候群（MDS）は骨髄中に生じた異常クローンによる無効造血の結果としておこる後天性造血障害である。 長らく病因や発症のメカニズムが不明で，かつ診断も必ずしも容易ならず，治療にいたっては造血幹細胞移植を除けば有効な手立てがほとんどないという血液難病であった。 しかしかかるMDSの既成概念は次第に変わりつつある。すなわち発症から病態形成に至る分子機序解明への着実なアプローチ，造血器腫瘍の分類の変遷と連動した診断法の進歩，そして生命予後を改善する新たな分子標的治療へと向かう取り組みが進められている。