新しい播種方法とその考え方

摘要

「播種」すなわち「タネ（胞子、遊走子、幼胚）蒔き」 の方法は，種苗移植と母藻移植に分けられる。前者は磯 焼けなどにより母藻の入手が困難な場合に多く用いられ ており，種糸や種苗プロックなどで供給される藻体が成 熟するのはおよそ1年後であり，それからタネを周囲に 拡散する。また.生長過程にある小さな幼芽は.魚ゃゥ 二の食害を受けやすく，本来の目的である夕ネの拡散に 寄与しないことも多い。一方，後者は投石場などの藻場 造成等で用いられており，母藻を大量に必要とすること, また.幼体の出現が不確実であることが難点である。し かし，種苗移植より1年早くタネが拡散するというメリ ットがある。少量の母藻で，かつ，幼体を確実に拡散さ せることができれば，早急な回復が求められている磯焼 け対策の現場において.「核藻場づくり」の有力な手法となる。ここでは後者の母藻移植の新しい方法を3っ紹介すると共に，その方法の考え方について述べる。なお.新しい播種方法の試験は大分県佐伯市名護屋湾内（Fig. 1)で行った。文中の水深は全て潮位補正後の値である。