REBCOコイルにおける熱暴走のメカニズムと対策

摘要

REBCO線材は高磁場中での工学的臨界電流密度に優れ、さらに線材長手方向への引っ張り強度に優れた革新的超伝導線材である。これらの特性を活かせば、NMR、MRI、高磁場磁石、加速器などの超伝導磁石を高磁場かつ小型にすることが可能になる。我々はREBCO線材が市販化された直後からコイルを製作し、基礎的な実験を繰り返してきた。この中で、REBCOコイルには（1）機械的要因による超伝導特性の劣化、（2）早期熱暴走によるコイル損傷、（3）遮蔽電流磁場による磁場分布の歪みや時間変動、などの重要な技術課題があることを見出してきた。本テーマ解説では、熱暴走の問題について述べる。