雑草共存環境におけるコシヒ力リ有機栽培と 肥培管理技術の勘どころ

摘要

有機栽培は特殊な栽培法であり、多労-低 収で非合理的と考えている人も多い。しかし 有機栽培の根底にある栽培理論は決して特殊 なものではなく、一般的な栽培法と大きく変 わるものではない。農作物が温度'光'水-二酸化炭素、酸素、その他の必須養分を必要 な時期に必要なだけ吸収できる環境さえ整え られれば、有機栽培であろうとなかろうと順 調に生育するはずである。ここで一般的な栽 培と有機栽培の違いを考えてみると、様々な異論はあるにせよ、以下の2点に集約でき る。すなわち、（1)一般栽培では化学合成肥 料を主体とする肥培管理を行うのに対して有 機栽培では地力と緑肥や堆肥を含む有機質肥 料によって肥培管理を行うこと、（2)—般栽 培では主に化学的防除体系によつて病害虫被 害の抑制を図るのに対して有機栽培では耕種 的防除体系や天敵利用によつて抑制を図るこ と、である。一般栽培と有機栽培の到達目標 (収穫）は同じである力、そこに到達するた めの手段が異なる、と言えるのではないだろ うカゝ。決して簡単とは言えないまでも、有機 栽培においても合理的な栽培計画に基づいた 農業経営を成立させることは十分可能であろう。本稿では水稲の有機栽培における肥培管 理に焦点を絞り、窒素を中心とする肥培管理 方法の一つの考え方について提案する。