［ポスター講演］手指の構造と運動に対する制約からみたマルチタッチアクションにおけるユーザビリティの評価

摘要

本稿では，タブレット型端末上での複数本の指の動き，いわゆるマルチタッチアクションを利用した認証に際し，認証に適切なマルチタッチアクションを選定するための前段階として，ユーザにとって行いやすいマルチタッチアクションを抽出する．従来のマルチタッチアクションを行動的特徴として用いる生体認証では，認証手法の改善に主眼が置かれており，利用したマルチタッチアクションの選択理由は明示されておらず，どのようなマルチタッチアクションが認証に相応しいか分かっていない．そこで，解剖学·運動学の知見を元にして手指の構造，とくに手指を動かす筋肉に着目し，ユーザビリティの観点から，指の組み合わせ及び動作をスコア付けする．スコア付けした指の組み合わせ及び動作に対してアンケートを実施した結果，例えば，指の組み合わせにおけるユーザビリティの評価とユーザによる評価の相関係数は-0.81と，強い相関が見られる等，ユーザビリティが高くなるようスコア付けした指の組み合わせや行い易いと評価した指を折り曲げるという動作は概ねユーザの評価と一致するという結果が得られた．