DNA損傷シグナルによって活性化したAPC/Cが老化細胞でヒストンメチル化酵素の分解を弓Iき起こす

摘要

正常なヒトの体細胞に発癌を引き起こすような過度なストレスが加わると，アポトーシスもしくは細胞老化が誘導され，細胞の増Mを阻害することで発癌抑制に働いている． 細胞老化は培養細胞で分裂回数の限界． すなわち分裂寿命として発見された現象であったが1) 2)，分裂寿命を迎える以前の細胞においても． 癌遺伝子の活性化や放射線。化学物質などによって過度なDNA損傷が蓄積した場合に細胞老化と同様の増殖停止が誘導されることが明らかになってきた3)． rらに，加齢とともに生体内で細胞老化を起こした細胞（老化細胞）が蓄積していくことも知られている4）また最近。老化細胞が炎症性サィトカインやケモカイン．細胞外マトリックス分解酵素など様々な分泌性タンパク質を高発現し，それらを細胞外に分泌するSASP (Senescenceassociated secretory phenotypes）と呼ばれる現象を起こしていることが明らかになってきており5)．これらの分泌性タンパク質（SASP因子）の多くが炎症反応や発癌を促進する作用を持つことから． 老化細JA 6 SASPを介して周囲の細胞の発癌を促進している可能性が示唆されている5)このため，細胞老化に伴うSASP 9機構を解明し． その制御方法を見つけることは． 癌や炎症のような加齢に伴う疾患の発症を防ぐために重要であると考えられる．