ヘリコバククー·ピロリCagAによる上皮細胞極性破壊と細胞癌化のカップリング

摘要

胃癌発症に重要な役割を担うピロリ菌病原因子CagAは胃上皮細胞内に注入された後，チロシンリン酸化依存的にSHP－2癌タンパク質と特異的に結合しその機能を脱制御する.さらにCagAはリン酸化非依存的に極性制御キナーゼFnRlbと複合体を形成し上皮細胞極性を破壊する.CagArPARlb相互作用により脱極性化された上皮細胞にCagA－SHP－2依存的な異常増殖シグナルが作用する結果多段階の胃発癌プロセスが相乗的に進行すると考えられる．