高分子非線形光学材料の飛躍的な復活

摘要

1980年代後半から1990年代にかけて，高分子非線形光学材料の研究が精力的に行われてきた．高効率性や高速性が期待されていたにもかかわらず，実用化に至った物質はニオブ酸リチウム（LN）を中心とした無機材料であった．これはおもに有機物質の耐久性の低さに起因するものである．現在，日本国内を見渡しても，かつての高分子非線形光学材料の研究分野は大きく縮小し，その実用性を疑問視する声はいまだ根強いといった状況である.一方，アメリカではDARPAやNSFの支援のもと，地道な材料開発が続けられてきた．とくに近年の研究成果には目覚ましい進歩があり，その性能は無機物をはるかに凌ぐレベルに達している．