ハイパワーレーザーを用いた高エネルギー密度物質研究とその展望

摘要

物質を加圧すれば，圧力の増加とともに“反応”が誘起される。構造相転移や分解·解離はその代表的な例である。パルス的な圧力波，特に衝撃波を用いた動的圧縮法では，静的圧縮法とば全く異なり，時間的にも空間的にも鋭い立ち上がりで断熱不可逆的に圧縮が進行する。この衝撃波を用いた動的圧縮の方法を特に衝撃圧縮（shock compression）と呼ぶ1とりわけここで述べる，時間的にも空間的にもエネルギーを集中できるパワーレーザーを用いた“レーザーショック”の方法では，従来法では実現できない，i)l千万気圧（lTPa）を超える極超高圧力を容易に生成できること，ii）その極限状態の立ち上がりや持続時間がピコ秒を超えるような超高速過程にできること，などから極めてユニークな物質研究のアプローチ であると認識できるだろう。