力学と微積分 微積分はどう使われているか

摘要

ガリレオが望遠鏡で天体観測をしてから400年後の本年は世界天文年ということである． 本稿のタイトルの力学に関して，ガリレオの果たした役割は大きいが，ここでは触れないで，単に彼の名前を冠した概念をあげるにとどめる． ニュートンの力学の第一法則の要請する空間（その中で物体が運動する空間）を慣性系またはガリレオ系という．ガリレオニュートンの系譜の史的意義は，例えば佐藤文隆先生~(1))によれば，次のように説明される．「ガリレオは，例えば，運動を問題にする場合にその原因，理由，目的などを「なぜ？ 」と問うのを無意味とした． 問題は「いかに？ 」起こるかである．伝統的学問からのこの態度変更を，ニュートンは「私は仮定は作らない」という消極的な形で表現した． 「プリンキピア」の影響を「方法」と呼んでいる理由である． いずれにせよ，この方法が"通俗化"するには，ガリレオやデカルトのお説教だけでは十分でなかった． ニュートンによる具体的な問題解決策が必要であったのである．」少々長いがここに引用させていただいたのは，「いかに？ 」という問題意識の持ち方が力学をはじめとして自然科学の理論に共通することを認識しておくことが大切であると思うからである．