早期発電実証炉の運転パラメ一タと先進トカマクの実現による運転領域拡大

摘要

筆者らが提案した早期発電実証炉Demo-CREST［1－3］は，ITERでの誘導電流を用いた高Q.長時間核融合燃焼と，JT-60の超電導化改修などの補完的トカマク装置による完全定常運転の両方の達成が確認された時点で，それらの実績からの最少の外挿によって設計を開始できる発電実証炉概念をめざした．プロジェクトは確実に目標（この場合は正味発電の実証）を達成しなければならないという考えから，ITERの高Q運転パラメータ［4］と同程度のプラズマ（β_N＜2，HH＜1など）でも1GWth程度の熱出力でネット電気出力（運転に使う循環電力を差し引いた電力）として「差し引きゼロ」を保証できる最小サイズを採用しいる．ここで，β_NとHHは，規格化ベータ値，および，ITER H-mode閉じ込めスケーリング則［5］に対する閉じ込め改善度である．さらに，ITER実験の進展で得られると期待される高性能運転パラメータ（例えばβ_N～3.4など）ならば，3GWth程度の熱出力で600-1，000 MWのネット電気出力に発展できることも目標とした．最終的には，高経済性炉として提案したCREST炉［6］へのステップとなるβ_Nが3.5を大きく超えるような超高性能プラズマでの燃焼?発電実証も可能であることをめざしている．