未解明な部分が多い健康への影響欧米に遅れる日本のリスク評価濃度－毒性関係の把握が急務

摘要

産業のあらゆる分野に応用が期待されるナノテクノロジーは、生活や人の生き方などに大きな変革をもたらす潜在力を持つ。優れた機能を持つ多種多様のナノ材料が開発され、ナノ粒子（100nm以下の極めて微小な粒子）の生産も拡大しつつある。 ナノ粒子が人や他の生物の体内に入る機会が増える可能性が高まる一方で、人の健康や環境中にいる生物にどのような影響を及ぼすのかについては未解明の部分が多い。 呼吸で1日約15m~3を吸入する空気を通し、ナノ粒子に曝（ばく）露される可能性があるのかどうか。ナノ粒子が健康に及ぼす影響について考えるとき、粒子が小さくなると何が問題となるのか。 内外の動向や今後の課題を概観する。