鉛系圧電材料を超える高性能バリウム系圧電材料を開発

摘要

山梨大学の和田智志教授らの研究グループ（藤井一郎博士，大学院生の三井龍太）は，現在使用されている鉛系圧電材料よりも高いキュリー温度（高いほど高温まで使用できる）と圧電定数（高いほど少ない電気工ネルギーで伸び縮みできる）を持つ新規バリウム系圧電材料の開発に成功した．この材料は，バリウム，ビスマス，チタン，鉄などからなる酸化物で鉛を含んでいないため，環境に無害であり安全性が高い．また，材料中に大きさが5ナノメートル（ナノは十億分の一）以下のナノドメイン構造を持つことが特徴で，これにより室温で850pm/V（ピコメートル/ボルト）以上と高い圧電特性を発現できる，この億は，同じキュリー温度を持つ圧電材料で比べると鉛系圧電材料よりも2倍以上高く，鉛系圧電材料を新材料で置き換えることが可能だ．すでに実用材料としての検討を始めており，5年以内の実用化を目指す．