Ce~(3+)添加ガーネットの電子構造設計による高輝度長残光セラミック応光体の開発

摘要

通常の蛍光体は，励起源が遮断されるとその発光は直ちに減衰，消失し，その蛍光寿命は長いものでもミリ秒の時間スケールであるが，長残光蛍光体は，励起源を遮断後も数秒から十数時間といった長時間発光し続ける性質を持つ．この特異的な性質は，外部からの光エネルギーを材料が吸収し，材料内に生成した電子またはホールを，一時的に結晶内欠陥にトラップすることを起源に持つ．このキャリアトラップ状態は，材料が一時的に光エネルギーを蓄えていることになるので，蓄光過程とみなすことができる．苗光過程においてトラップされた電子·ホールは，室温における熱エネルギーにより，長い時間をかけて徐々に開放され，発光中心と再結合することにより残光現象を示す．この時異な性質を持つ長残光蛍光体が，夜光塗料として，時計の文字盤や緊急避雑用の標識等に広く用いられている．