Mg_2Si系化合物の熱電特性と粒成長に及ぼす粉砕とCaOナノ粒子添加の影響

摘要

スクッテルダイト熱電材料に関する我々の以前の研究では，フラーレン，カーボンナノチューブおよびアルミナナノ粒子などのナノサイズ物質をCoSb_3系化合物に均一混合することで熱伝導率の低減を図って熱電性能を向上させることに成功している．さらに我々は，高マンガンシリサイドにアルミナナノ粒子を均一分散させた場合に同様な効果があることも報告している．そこで本研究では，フオノン-粒界散乱およびフオノンー不純物散乱に注目して，結晶粒の微細化やMg_2Siと反応せず熱力学的に安定であると考えられるCaOナノ粒子（CONP）の均一分散添加によって格子熱伝導率の低減を図り，熱電性能の向上を試みた．さらに，試料を不活性ガス雰囲気中の高温下で長時間熱処理を施して，CONP添加による粒成長抑制効果についても調査した．