老朽化する原発--技術を問う

摘要

この数年，原子炉に関する大きな事故のニュースが多い。 1991年2月の関西·美浜2号炉の蒸気発生器伝熱細管の破裂，1995年12月の高速炉「もんじゅ」のNa漏れ事故，1999年9月のJCO工場の臨界事故，2002年8月の東電柏崎の炉心シュラウドひび割れ事故隠しの謝罪，2004年8月の関西美浜3号炉の蒸気管の減肉破裂事故 これらの事故は原子炉材料の老朽化現象とともに検査·安全管理の不在·隠蔽の複合事故の様相が濃い。本書は原子炉材料の技術的管理とともに国や原発メーカーの安全管理の不透明さの現状を明らかにした警鐘の書である。原発の構成機器のうち，特に金属材料の老朽化に焦点をしぼって日本の原発の現状について6篇の報告解説をまとめたもので，要旨は以下のとおり，（）は解説執筆者。