鉄鋼製造プロセスの再生·革新に伴う省エネルギー

摘要

現代の鉄鋼生産の代表的なプロセスは高炉一転炉一連続鋳造一圧延ラインからなるいわゆる一貫製鉄所である。 一貫製鉄所では膨大なエネルギーが消費され，エネルギー原単位が競争力の指標と言っても過言ではない。 住友金属工業㈱和歌山製鉄所は1960年代に一貫製鉄所として成長拡大し日本経済の高度成長を支えた代表的な製鉄所である。 ピーク時には粗鋼生産900万トン/年を超える世界最大級の製鉄所であったが，1973年の第一次オイルショックと新たに建設された更に近代的な鹿島製鉄所への生産シフトにより，生産量は漸減しピーク時の約1/3まで減少し，設備も老朽化陳腐化が進み競争力も低下した。 1990年代に入り21世紀に残る製鉄所としてシームレス鋼管製造を中心とする中規模製鉄所としての再生計画が立案された。 いずれも革新的技術を導入した新ラウンド連鋳機（以下新RCC），新中径シームレス鋼管ミル（以下新中径ミル）及び新製鋼工場が順次建設され，20世紀末には計画どおり再生した（図1）。 本稿では和歌山製鉄所における，これら製造プロセスの再生·革新とそれに伴う省エネルギーについて概説する。