Ni-W合金電析膜の構造と硬度に及ぼす熱処理時間の影響

摘要

Niめっき鋼板は，プレス加工の際，めっき層が摺動により金型に焼き付き易い。硬度が高く耐摩耗性に優れるNi-W合金電祈膜をNiめっき鋼板の上に付与すれば，焼き付き難く，連続プレス性に優れた鋼板が開発できると期待される。そこで著者らは，前報にてNi-W合金電析順の構造，硬度に及ぼす熱処理，下地Niめっきの影響について報告した。熱処啓まを行なうとNi4W，NiWが析出し硬度は増加すること，下地のNiめっきはNi4W，NiWの析出量を減少させるが，析出サイズを微細にし，硬度の増加に効栄があることを報告した。このように，Ni－W合金電析膜は熱処理を施すことで皮膜が硬化するが，その硬化機構については未だ不明な点が多い。実機でのNi-W合金の熱処理は，生産性の観点から短時間であることが望ましい。そこで本研究では，Ni－W合金電析腰の熱処理時間を変化させて硬度と組織の関係を調査し，硬化機構について検討を行なった。なお本研究では，実用化を想定して下層にNiめっきを施し，その上にNi-W合金電析を行い，熱処理時間を変化させて硬度と組織を調査した。