酸化物系介在物の微細分散および組成制御技術--製鋼におけるオキサイドメタラジー技術

摘要

これまで鋼中の非金属介在物は製品特性にとって有害であるとして、その除去に多大の努力がなされてきた。これらの有害な介在物は、一般に50μm以上の大きさである場合が多い。しかしながら、1990年に、数μmサイズの鋼中酸化物の分布や組成を制御することにより、鋼の凝固後に析出物の析出核として作用させ、製品特性を向上させようとする考え、いわゆるオキサイドメタラジー（Oxides Metallurgy）が提案され、その応用技術が開発されてきた。本稿は、オキサイドメタラジー技術紹介の連載第5回目であり、キイテクノロジーのひとつである、製鋼工程における酸化物系非金属介在物（本稿では、酸化物粒子または介在物と略す場合あり）の制御技術について、物理化学的な観点から紹介する。