磁気分離法による溶銑脱リンスラグからのリン回収法で生成する残渣スラグのリサイクル効果

摘要

著者らが前報で示した磁気分離法による溶銑脱リンスラグからのリン回収後の残渣スラグを対象に，これを溶銑脱リンフラックス原料としてリサイクルした場合の副原料投入量およびスラグ発生量削減効果を物質収支に基づいて定量評価した。また，磁気分離法導入によるリン回収と残渣スラグリサイクルの経済波及効果と環境負荷低減効果について廃棄物産業連関表を用いたシナリオ分析を行った。 本研究で得られた結論は以下通りである。 （1）残渣スラグの脱リンプロセスへのリサイクルによってCaO投入量およびスラグ発生量を削減でき，残渣スラグへのリンの残留率が40％以下の低い場合には，さらにFeO投入量も削減できる。 （2）リン濃縮相のリン濃度が高いほどFeO投入量，CaO投入量，スラグ発生量の削減が見込まれ，高品質リン資源の獲得，副原料投入量およびスラグ発生量の削減の両面から，脱リンスラグ中のリン濃縮相のリン濃度を高める条件を調査することが重要である。（3）本法は，特に石灰やリン鉱石などの資源投入量，CO_2発生量，埋め立て処分量の削減に有効である。