粉体技術とナノテクノロジーの接点：コロイド化学による半導体ナノ粒子の合成と機能化

摘要

近年，半導体や金属などナノスケール構造を持つ物質群において，光·磁気·電気伝導の各現象にさまざまな新規物性が発見されている。 これらは，固体と原子分子の中間状態としてのメゾスコピック系の物理現象であり，多くの場合，量子効果がその特異な物性に関与している。 そこには新規機能性材料としての期待とともに，基礎物性に関して未知の興味ある問題が多く存在している。 特にサイズが1nmから10nmに渡る半導体ナノ結晶は，キャリアの3次元量子閉じ込めにより，エネルギー準位が離散的かつバルクのバンドギャップより高エネルギー側にシフトし，これを粒径により制御できる。また電子－正孔の波動関数の重なりが大きくなるため，振動子強度が増加し，発光強度の向上や光学非線形性の増加が期待され，レーザー構造を作製した場合低しきい値で，温度の影響を受けずに動作するものとして期待を集めている。