工業用イーサネットの胎動：イーサネットを使用したフィールドバスネットワーク「EtherCAT」

摘要

フィールドバステクノロジは自動制御機器および制御システムの統合化を目的として開発され，さまざまな分野に導入され，その動作の安定性，統合性，柔軟性がテストされ，現在では確立された統合制御ネットワークシステムとして幅広く認知されている。 特にインダストリアルPCを使用した制御システムでは，大型化システムへの対応性，処理速度の高速性を実現するものとして大きな期待が寄せられている。 しかし，ネットワークとしての安定性，信頼性を確保するためにはデータ転送速度をある程度犠牲にせざるをえず，また，主制御機器（インダストリアルPC，PLC等）の内部処理サイクルと，ネットワークに接続された機器のサイクル同期を確実に取ることが難しく，一般的なフィールドバスでは，主制御装置の処理サイクルタイムに対し，ネットワーク自体のレスポンスタイムは3～5倍かかってしまうという点がボトルネックであると指摘されている。 「EtherCATフィールドバスシステム」（写真1）は，このボトルネックを解消し，かつ現行のフィールドバスシステムより，より安価に導入が可能な自動制御用オープンネットワークシステムとして開発された。