チタンのパルスMIG (Metal Inert Gas)溶接におけるアーク安定性と溶滴移行に及ぼすワイヤ表層酸素串よびカルシウムの影響

摘要

チタンは化学工業などのプラントに多く使用されているが，その溶接構造物はほとんどTIG (Tungsten Inert Gas) 溶接法で製造されいる．TIG溶接法は信頼性の高い溶接法であるが，溶着量が少なく溶接能率が低いという欠点があり，製造コストを上昇させる原因となっている．また，中厚彼の溶接では多層溶接となるため，溶接歪が増幅され，それを除去するためのプレス矯正の工程がコストアップの要因となる場合もある．そこで，TIG溶接法より溶接能率の優れたMIG (Metal Inert Gas)溶接法に着目した．軟鋼，ステンレス鋼などのMIG溶接においては，シールドガスとしてアルゴンガス中に2～5％の酸素を混入したものを使用している．その数％の酸素により，陰極点の位置が溶接ワイヤ下の母材に固定され，アークが安定することが知られている．チタンにおいても同様の現象になると報告されている．本研究ではアーク安定性に及ぼす溶接ワイヤ表層の酸素および軟鋼溶接においてアーク安定元素であるアルカリ土類金属カルシウムの影響を溶滴移行現象の面から調査した．