地域からの発想による美しい街づくり

摘要

景観法が制定されていろいろな期待があるが，突き詰めると法の基本理念の一つである地域の個性が発揮されなければ真に美しい国づくりにつながらない。 そされば，景観法ができたからと言って，各地で起きている景観紛争がすべからく解決するおけでもないからである。 新しい汐留の街はディテールではそれなりにデザインされているが，周辺や他を省みない暴力的とも言える建物の高さと密度から美しい街とは思わないが，景観法があったとしても多分そんなに変わりしない。景観よりも他のベクトルが強いからである。 美しい景観とは何かを規定することはかなり難しい。 人それぞれに景観に対してクライテリアも評価基準もさまざまであるから，共通の意識として合意されにくい。 自然景観は有る程度共通認識が生まれるが，都市景観になると選択肢はかなり多い。 しかしながら，逆の醜いものの意識はかなり合意される。 醜いものを取り除く，造らないのが景観政策の基本である。 それは，法の基本理念に言う調和である。 たとえば単体の建築物としては，デザイン的に評価されても周辺と調和していなければ美しい景観とはいえない。