物理機能設計研究分野

摘要

本研究分野では，「磁性ハイブリッド半導体ナノ構造の創製と光スピン機能性の開拓」に関する研究を行っている．2006年の研究活動としては，以下のように概括される．半導体における電子·正孔キャリアのスピンによる新しい機能性を発現させるためには，様々なナノ構造を作製し，スピン保存トンネルなどの量子効果を積極的に利用していくことが重要である．一般に非磁性半導体中のキャリアスピン状態は縮退しており，スピン状態を一方向に偏らせるスピン偏極操作が必要になる．さらに，スピン偏極キャリアを量子構造におけるトンネル効果などを利用して輸送し，最終的に，そのスピン状態を反映した円偏光発光·レーザー素子やスピントランジスタなどの新しい機能性を持つ素子構造を考案していく必要がある．我々は，100％のスピン偏極が可能でかつ優れた光学特性を示すII-VI族希薄磁性半導体を用いた様々な「磁性ハイブリッド半導体ナノ構造」を作製し，光励起キャリアや励起子のスピン偏極，スピンの輸送や空間的分離，注入などの光スピン機能性に関する基礎的検討を進めている．また，独白に開発してきた超高速時間分解磁気光学分光により，半導体中キャリアスピンの超高速ダイナミクスに関する詳しい研究を行っている．以上により，半導体の優れた光学機能性を利用した半導体スピントロニクス技術の開拓を進めていきたいと考えている．