脊髄損傷の病態生理と治療法開発へのアプローチ 見えてきた未来

摘要

最初に，脊髄損傷とはどのようなものか，その 全体像を見渡してみます.まず，受傷の原因とし ては交通事故が最も多く，次に転落や，起立-歩 行時の転倒です.この脊髄損傷は全体の半分から3分の1が労働災害事故でして，建築? 土木その 他の技能労働などの職種で多く起こっています. 受傷年齢は，日本は20歳代と50-60歳代に多 く 二つの山をなしています.海外では若い方に多 いのですが，50?60歳代にも多いというのは日 本に特徴的といわれています. 次に，損傷部位をみますと，脊髄の中でも特に 頸髄，つまり頸の部分が多く損傷されます.頸椎 は脊柱の中でも特によく動くところですので，け がも受けやすいと考えられます.