中性子散乱実験のための温度圧力可変システム－Mito system－の開発

摘要

この意味で，温度や圧力は状態変数と呼ばれ熱平衡という前提のもとで，その温度圧力に到達した経路によらず系の状態を規定し，温度や圧力それ自身も系の状態そのものと捉える。こう考えると，温度や圧力は熱平衡状態という前提なしには定義できないことになるが，それではあまりに適用範囲が狭いので，非平衡状態にまで拡張して用いている。さらに，実際には熱や仕事を制御して結果として変化した温度や圧力を見ているのが事実であるが，毎回このように断るのはまどろっこしいので，単に‘温度／圧力を変えた’と記述している（本稿でも，以降このように使う）。多くの場合，このような厳密さは気に留めることもないが，非平衡状態で便宜的に定義された温度や圧力は，もはや状態変数ではないことには注意が必要である。