国内外の先進事例から学ぶディザスタ·リカバリ、事業継続マネジメントの実際

摘要

「テロや自然災害を経験してきた欧米諸国は、災害によるリスクをゼロにしようとせず、災害が起きた際にパフォーマンスを多少犠牲にしても業務オペレーションを続行し、いち早く復旧することに焦点を合わせた事故前提社会に向かっています」。金融ビジネス·コンサルティング業務を経て、現在、セキュリティにかかわる関係省庁の委員などを務める長岡技術科学大学の渡辺研司氏はこのように述べる。 ビジネス活動が中断した際のしなやかな復元力、すなわちレジリエンシー（Resiliency）を確保する事業継続マネジメント（BCM）が対象とする範囲はディザスタ·リカバリの概念よりも広い。 弗烯`ドウエアやオフィス、書類といった静的な有形資産、およびデータなどの無形資産を残してもそれを運用する人や空間がなければオペレーションは停止してしまいます」。 例えば、東京をメインサイトとする企業が大阪にデータをフル·バックアップしている場合。大阪にオペレーションができる人材がいない、あるいは東京·大阪間の移動が確保されなければ東京が被災した際に、バックアップのデータやシステムは無傷でも業務は止まってしまう。 袱饯长恰|京と大阪にオペレーション·リソースをたすき掛けにしておき、一方がダウンしても他方で業務を継続できる環境を構築する手法が有効」と述べる。欧米の先進金融機関では3拠点間での相互バックアップを行い、レジリエンシーを強化しているという。