収束電子回折（CBED）法の基礎

摘要

電子は光（電磁波）と並んで物性を研究するための2大プローブです。 電子顕微鏡は結晶の構造から電子状態までを1台の装置で調べることができるポテンシャルをもっております。 電子顕微鏡の機能はマイクロスコピー，デイプラクトメトリー，スペクトロスコピーの3つに大別されます。 マイクロスコピーでは物質の美空間の情報を，デイフラクトメトリーでは道空間の情報を，スペクトロスコピーではエネルギー空間の情報が得られます。また，前二者では，結晶の構造情報が，第3の方法では電子状態に関する情報が得られます。本学会では特に結晶構造の解明に焦点が合わせられていますが，今後は電子状態への関心も高めていかなければならないと思います。 電子顕微鏡はこれまでどちらかというと，構造の定性的研究に用いられてきましたが，近年の電子光学,電子線の検出系, コンピューターなどの進歩により，定量解析のツールへと発展しています。 それは特にデイフラグトメトリーとスペクトロスコピーにおいて顕著です。 これらは長年，X線や光を用いて行われてきたものですが，電子顕微鏡に特有なことは微小領域からそれらが行えることで，近年のナノサイエンスには欠くことのできない研究手法になっています。 特に，微小領域の電子状態の研究手法は発展途上にあり,今後の技術開発が楽しみです。 このことについては今回の企画の後半部分で述べられるはずです。