Atg7とそのAtg8結合型の立体構造

摘要

オートファジーは真核生物に普遍的に保存された細胞内分解系で，その分解対象はタンパク質や脂質などの生体分子，ミトコンドリアやベルオキシソームなどのオルガネラ，そして細胞内に侵入した細菌など，サイズも性質も多様である．このような多様なものを分解する能力は，その特徴的な分解機構が与えている．オートファジーが誘導されると，細胞質内に突如膜構造が出現し，分解対象を包み込みながら膜を仲良湾曲させ，最終的に閉じて二重膜の構造体であるオートファゴソームを形成する．続いてオートファゴソームは卿包内の分解の場であるリソソーム（酵母や植物では液胞）と融合する．リソソーム内には各種加水分解酵素が含まれており，オートファゴソームの内膜およびその中に包み込まれていたものをランダムに分解する．したがって，オートファゴソームに包み込めるものであれば，原則何でも分解することが可能である（もちろんリソソーム内の酵素に耐性があるものは分解されない）．このような特徴から，オートファジーはタンパク質凝集体や損傷したオルガネラなど，ほかの細胞内分解系では処理できない有害かつ巨大なものを分解し，細胞の恒常性維持のために貢献している．