産業領域における中国不織布の発展の見通し

摘要

中国の不織布産業は1990年代に入ってから急激な経済発展に伴い市場の顕在化と新規参入が顕著になり日本では考えられないスピードとスケールで伸長してきた。 現在ではさらに加速度が増した感がある。 数年前から毎年何らかの不織布関連の展示会が開催されるたびに参観してきたが、その展示会の賑わいは年毎に増している。 ご存じのとおり中国には不織布関連の団体が北京、上海 谥荬?地区に配置されており、各々が中国不織布産業の発展に貢献している。 その姿はいかにも広大な中国の地政学的事情を表しているといえよう。なかでも中国経済を牽引している上海でのCNTA（全国不織布技術協会）がその規模といい活動内容からいっても業界の中心的存在であり、2003年12月には中国で初めて業界の国際的展示会ANEXを上海で開催し成功させている。 その機会によって、アジアはすでに一つの地域市場でありそのなかでの競合が始まっている、ということを否が応でも認識させられたのは記憶に新しい。 今日では中国の発展がアジア地域の不織布に関する地政学的バランスを大きく左右するほどの影響力を持つようになったといっても過言ではない。 中国は現在第十次五ヵ年計画（2001～2005年）の真っ只中にある。 その骨子には農業の開拓促進、工業の国際競争カアップ、水利建設の強化、輸送システムの整備などと不織布に関連するテーマが多くを占めており、この点国家挙げての需要促進を図っているようなものであり景気低迷下で苦しむわが国の業界から見れば羨ましい限りである。 中国の不織布を含めた産業用紡織品は1988年以来年間成長率11％をずっと維持してきており、ことに近年の不織布の急激な伸長が産業用紡織品市場のパイを広げている。国のインフラ整備を骨子とする五ヵ年計画の継続がある限りここしばらく産業用紡織品の発展は止まることはなかろう。 産業用紡織品の時系列伸長と不織布の関係を分析しながら今後の中国の産業用不織布の発展見通しに触れてみたい。