情動とストレス脆弱性を脳画像で探る：扇桃体の機能を中心として

摘要

現代はストレス社会と言われているが，心理社会的なストレスが脳内でどのような処理を受けているのかについてはまだ十分にわかっていない．感情·情動などの脳機能とストレス脆弱性の相互作用により，ヒトにうつ病や不安障害などが発症すると考えられている．このメカニズムを解明することは，神経科学の重要な目標の1つである．動物実験からは扁桃体と前頭葉との相互作用が，これらの脳機能に関連していることが示されている．このような実験をヒトにおいて非侵襲的に行うには，瓜4RIなどの脳画像を用いることが必須である．本論文では著者が行った実験結果とともに，従来からのfMRI研究を紹介する．扁桃体の活動と感情·情動·ストレス脆弱性の結びっきは，セロトニンなどを含む神経伝達物質受容体遺伝子多型との関連で研究されている．